提婆品
     
 
     
 
 
提婆品(だいばほん)
 

 

 提婆達多(だいばだった)は釈迦の従弟(いとこ)で、悪名が高い。この経はその成仏(じょうぶつ)を説き、さらに龍王の女(むすめ)の変成男子(へんじょうなんし)(女性が男子に変わること)を述べ、『法華経』の功徳(くどく)を宣揚(せんよう)する。表紙と見返し絵が一体となり、「荒海(あらうみ)の怒れるいほ(魚)」(『源氏物語』帚木(ははきぎ))は沙竭羅龍王(しゃからりゅうおう)の龍宮(りゅうぐう)を暗示する。見返し絵は、「その時、龍女(りゅうにょ)に、一つの宝珠(ほうしゅ)あり、価直(あたい)は三千大世界なり。以(も)って仏に上(たてま)つるに、仏は即ちこれを受けたもう」の絵画化。経文は金泥(きんでい)・銀泥(ぎんでい)・群青(ぐんじょう)・緑青(ろくしょう)、四本の筆を順次に操りながらの丹精の書写。
  精緻(せいち)をつくした考究の結果、清盛の異母弟(いぼてい)(母は池禅尼(いけのぜんに))の修理大夫(しゅりだいぶ)頼盛(34歳)の筆と断定する。

 
 
 
     
 
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